Humor study book(1)SRL

医学部教育における自己調整学習力の育成 松山泰

FCMEでもお世話になった松山先生の本。松山先生の研究をもとに書かれた本で、大きく3つのテーマで書かれていました。

1. 医学生の自己調整型学習を妨げているのは何か?

すでに地域に出て活躍している医師(自治医科大学出身)と自治医科大学の学生のインタビューより未修学分野の自己学習についての聞き取りがなされた。医師は患者に遭遇し、未知の問題点があった際に自己学習をし、学生は試験前に、みんなに遅れをとるまいと学習していた。試験に失敗しないようにLow risk, Low returnの精神が身に染みてしまっているようだ。

2. 教師依存型の文化の中で、どのような学習コンテクストの属性によって自己調整学習を促進することができるか?

自治医科大学の医学科5年生の中でも6年生の平均を上回った学生(FCSD)と非FCSDの学生にインタビューを実施(7か月の実習後)。モチベーションの維持の仕方や学習方略、理解の認知の方略に変化があったかを調査した。もちろんFCSDの学生のほうが自己調整学習の変化があったが、もともと高かった可能性も否定できない。

3. 自己調整学習を促進するコンテクスト属性を有する教育を導入すれば自己調整学習を促進できるか?

地域医療実習の学生にメンターによるフィードバックシステムを利用した群としなかった群とを量的(Motivated strategies for Learning Questionaire:MSLQ)に測定、また質的データとして両群のデータ収集を行い分析した。量的データの比較では有意差がなかったが、前後での点数の増加(差分)では有意な差があった。

自己調整学習って何?

自己調整学習と自己主導学習(Self-directed learning)の違い:特定のコンテクストにおける学習プロセスに着目すること。Zimmernモデルを紹介している。

評価方法は?

Pintrichらが開発した自己調整学習に関連する自記式質問調査票がある (Motivated strategies for Learning Questionnaire: MSLQ) 。9つの学習方略(リハーサル、精密化、体系化、批判的思考、メタ認知的自己調整、時間と環境の調整、努力調整、協働学習、援助要請)と6つの動機付け状態(内発的目標志向、外発的目標志向、タスク価値、学習信条のコントロール、自己効力感、テスト不安)における81の質問が7段階のLikertスケールになっている(量的)。ここから質問を作成し、インタビューする手法も取られていた。

私見

4年間で3つもの医学教育論文を書いてしまうなんて。。。見習いたくても見習えない!自己主導型学習ではなく自己調整型学習に着目したところがもう少し勉強しないとわからないんだけれど。ユーモアを主要因として、自己調整学習を一つの中間因子やアウトカムとして設定するのも面白いかもしれない。既存のスケールがあるのはとてもありがたい。一応概念図書かなくちゃな~。

松山先生は、自己の体験を出発点に理論を緻密に構築されている。ユーモアでこれができたらいいのにな~。もう一回総説に戻って哲学してみるかな!?

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