Pamela Tsao and Catherine H. Yu “There’s no billing code for empathy” -Animated comics remind medical students of empathy: a qualitative study BMC Medical Education (2016) 16:204
Background
糖尿病管理に関するアニメーションコミックがどのように医学生の共感の学習プロセスに関わるかを明らかにする。
Methods
Study design
1) Focus group methodologyを用いた質的研究 2) 共感に関する量的な変化
Setting and participants
カナダの大学の医学部1年生や2年生を各大学のメーリングリストサービスを通じてリクルート。1グループあたり5-8名で4-5のグループを作った。
to achieve saturation of themes in a homogenous sample of typical cases [14]; however we
recruited and conducted interviews through the above methods repeatedly until saturation was achieved.
Intervention
患者のニーズはあらかじめ同定しておく(行動変容が困難、バーンアウト、インスリンが怖い、否定や罪悪感、フラストレーション)。そして糖尿病管理における2つのアニメを用意する。1つ目は患者がインスリンを始めるように言われ、それを怖がる様子が描かれる。2つ目はライフスタイル改善に努めるものの、バーンアウトしてしまう様子が描かれる。参加する学生は電子メールでこの教材が送られ、1つ目と2つ目は1週間空けた(自省を促すため)。2つ目の動画を見たさらにその1週間後、グループでのディスカッションと共感に関する振り返りを行う。
Outcome
1つ目は医学生の共感に関する学びの過程を調査した。問題点に気づけるか、患者の見解に関する知識、観察技術、非言語コミュニケーションといったものにこの漫画教材がどんなインパクトがあるかを決定する。しかし参加者が医師の共感の欠如や自分たちにもそれが当てはまることをグループで議論していたためインタビューは修正された。
2つ目は動画視聴後、グループディスカッション後の共感のスコアの定量的変化である。Jefferson Scale of Physician Empathy(JSPE)を用いた。20項目の質問で7ポイントのLikert scaleである。総合点は20-140点で高いほど共感が高い。
Data collection
学生のバックグラウンドはemailで調査した。症例の小話を読んでもらい、医師としてどう思うか?患者としてどう思うか?を記述してもらった。また動画を見た後に動画を見てどう思ったかを記述してもらった。半構造的インタビューは一般の人たちにパイロットして実施してから開発した。女性レジデントがFocus group discussionを行った。1回あたり30-45分のセッションで録音され、逐語訳された。議論が煮詰まったかどうかを判定し、5グループにはさらに2セッションの議論をしてもらった。JSPEはオンラインで実施した。
Data analysis
議論や記述は2人の独立した研究者で質的アプローチとConduct comparison methodを用いて評価した。NVivoソフトウェアを用いた。JSPEスコアは2つのアニメを見終わった直後とグループディスカッションが終わった直後に測定、線形mixedモデルで比較した。
Results
Participants:25人の参加者 5グループが参加
Qualitative themes
・学生は共感が減ってきていることに気づき、心配している。
・心理社会的な役割よりも医学者であることを強調する医学部によることを指摘している。
・コミュニケーションや共感の技術の効果的な方法を教えてもらうことが解決策の一つ
Impact of the comic and focus group on knowledge, attitude and skills
・漫画で患者の見解がよりわかりやすくなっている(knowledge)。患者と医師の見解の違いがより明確になる。
・共感の重要性により気づく。患者の見解を理解することの価値に気づく。
・観察力やその解釈について学ぶことができる。
共感を思い出すのにとても優れた教材であると参加者は考えている。
Quantitative
上昇はしていたけれども、統計学的有意差はなかった。
私見
面白おかしいコミックを期待していたのだけれど、そうではなかったみたい。実際見てみたいけれど。まんがや動画は患者の目線やしぐさ、声のトーンといったところは書き言葉ではなかなか表現できないものね。そこから患者の気持ちをおもんばかったり、寄り添い、共感するなんてことが自然に気づけるのかもしれない。こういった視覚教材はGoodだから、これにユーモアを加えて学びが多くなりより記憶に残るようにできないかな~
(スマートウォッチなんかで患者のストレス具合や気分の良しあしなんかわからないかな?痛みは第6のバイタルサインなんていうけれど、いまだに1から10点で何点ですか?だもんね。)
コメント