Avner Ziv Teaching and Learning with Humor:Experiment and Replication. The Journal of Experimental Education, Fall, 1988, Vol. 57, No. 1 (Fall, 1988), p. 5-15
古典的ながら、40年の振り返り論文でも2021年のPediatricsにも取り上げられている論文。Ziv先生はすでに大学を離れているようだけど、このTel Aviv Universityはオリジナル論文⑤で取り上げているよん。
Background
いきなり記事が始まるのは1980年代だからかな?目的としては、長期間(1つのセメスター)でユーモア(+)群と(-)群を作ってその効果を判定する(後述)。さらにValidationではないけれど、同じことを繰り返すことによって、結果の信ぴょう性を高めようという研究だ。
Experiment 1
P:大学生(性別は問わず)
I:ユーモアを用いた講義を1セメスター受ける
C:ユーモアを用いない講義を1セメスター受ける
O:テストの点数
Method
Subjects
参加者は統計学入門を受講する学生、2つのグループをランダムに形成し、1セメスターを通じて同じ先生に教わる。1つ目のグループは82人(男性31名、女性51名)でコインによって介入群となった。2つ目のグループは79人(男性33名、女性46名)でコントロール群となった。学生はこの実験に組み込まれたことを知らない。
Instruments
セメスターの最後のMCQ試験(50問あり、1つの問題には4つの選択肢)が評価項目、信頼性はKuder-Richardson 20は0.91だった。先生は同じ教材を使い、介入群は関連のあるユーモアを用い、コントロール群では用いなかった。
Procedure
この先生は特別なセミナー「教えるときのユーモア」を受講しており、ユーモアのセンスの試験も受けている(1979)。講義で使用するユーモアについてジョークや漫画を用意した。以前の研究結果から1つの講義内で3-4つのユーモアが最適だということがわかっている。また3つの約束に従ってもらっている。
1) 概念を伝える際に用いる。2) その概念をジョークや漫画を使って例示する。3) 笑いの後には学んだ概念を言い換える。
Results
14週間の講義後、先のMCQをどちらの群も受験した。ANOVAを実施(グループと性別)。グループ間には有意差があったが(F(1,160)=5.39, p<.01)、性別にはなかった。Effect sizeを計算すると、男子は0.96、女子は0.64であった。
EXPERIMENT 2
同じ方法論で同様の結果が出るかを検証。違った講義内容、違った先生、違った学生で行った。先生の人柄や技術、学生のキャラクターを考慮に入れることが必要だから。
Subjects
今度は心理学入門を受講する学生が対象。介入群65人、コントロール群67人、すべてが女性。
Instruments
実験1同様、50問のMCQ(1問に4つの選択肢)でおこなった。KR 20=0.93
Procedure
条件付けについてのエピソードを漫画を交えて説明。クイズにもなっていて、選択肢も絵や漫画が工夫して挿入されている。ジョークを言って笑うという一連の流れも条件付けとさらに畳みかける仕組みにしている(概念のParaphrase)。セメスターの最後には最終試験がある。
Results
介入群が平均(標準偏差)=82(12.4)点、コントロール群が平均(標準偏差)=72.5(11.2)点、t検定すると、3.58、df=130、p<.01、Effect sizeは0.85。
私見
古いながら、Google scholarでは510ものテキストや文献に引用されている!教育でのRCTでシンプルながら説得力あるな~。それでもDiscussionの中では必要不可欠ではないが、折り紙付きの塩みたいなものと述べたり、Climateを変えられるなんて表現も”ストライク”でした。イスラエルのTel Aviv大学か行ってみたいぞ(どうやって行くか知らんけど)!!
医学教育となると試験の成績だけで、測定するのは危険なような気もするが、代替アウトカムとして採用してもよいか。アウトカムもしっかり考えなくちゃな。。。
しかしユーモアを講義に入れるためのセミナーがあるなんて、しかも1980年代に!前衛的だな。。。指導医講習会やFaculty developmentとかで扱えばいいのかな?
Discussionはまとめに入れていないけれど、また読み直したい
コメント