Humor studies オリジナル論文⑨

John Huss and Shannon Eastep. The Attitudes of University Faculty toward Humor as a Pedagogical Tool: Can We Take a Joke? Journal of Inquiry & Action in Education, 8(1), 2016

Introduction

すごく長いのでここだけで総説の様。

Method

Participant and Setting

著者の大学は16000人の学生を抱えており、2000名のスタッフがいる。2015-16の教育学部の65人の教師にメールを送り参加を募った。

Design and Procedures

convergence triangulation designを用いたMixed methodを採用した(量的と質的を合わせて用いる)。量的なものは4つのバックグラウンドの質問を含む12項目で研究者側で作成、質的なものは4つの物語の反応を見る質問とした。

Results

31名の教師陣が質問紙に参加した。22名が女性で9名が男性だった。

Table.1 参加した教師の背景(More than 15が2つあるのはご愛敬)
Table. 2 ユーモアは私の教育戦略の一部であるに対する返答

コメントは割れていて、「意図してはしていない、自然な形で」という教師から、「ラポールの形成、教室の雰囲気をよくするのに意図的に入れる」、「シリアスなトピックにちょっと面白い小話を挿入してとっつきやすくしている」という積極的な教師までいろいろであった。

Table.3 ユーモアは学生にとってリラックスした環境を作る。

教師の人間味を表現したり、リラックスした雰囲気の中で、学生の参加を促したり、注意を向けてもらうのに役立つと記述する教師がいる一方で、不自然な雰囲気で居心地悪くなったり、文化的な誤解を招いたり、若者特有の嫌味に対する繊細さに注意する必要もあるとしている。

Table.4 ユーモアは学生の難しい教材に対してや試験の不安を取り除く。

82%もの教師が賛成しているが、コメントは対照的でもあった。「一時的にすぎない」、「逆に不安をあおる」、「真剣さがなくなる」、試験に関しても「もっと別の方法があるのでは」、「資格試験の時にはユーモアを使える状況ではない」とあった。

Table.5 ユーモアはキーとなる概念を記憶するのに役立つ

賛成派は「学びが経験になる」、「寝たり参加しないよりいい」、反対派は「フォーカスがずれる」、「内容よりジョークを覚えちゃう」などであった。

ユーモアは教えた内容に興味をもたせ、学生を興奮させる

エピソードを交えて経験を聞かせてくれた教師がいる一方、「トピックによる」、「興奮は与えるが学びではない」という意見もある。

Table. 7 すべての内容は教師のユーモアから利益を得る。

ユーモアは学生が大切だが、いくらか無味乾燥な情報をよりよく学ぶのを手助けするという意見もある一方で、「そんな時間はない」、「学びにはなんら関係ない」といった意見も。

Table.8 教師がユーモアを使うと、専門家としての信頼を犠牲にする。

教師のユーモアのある専門性に基づく経験を共有することができ、リラックスした、心地の良い状態を作り出せる。一方、「授業にフォーカスし、教師がピエロになることは良しとしない」、「手品は必要ない」という意見も。

Table.9 学生は教師がユーモアを用いると重要性を低く見積もる。

過剰にならなければ、良いのでは。

Narrative responses

対面やウェブでの講義でどのようにユーモアを使ったかをインタビューし、不適切だったり、逆効果だったとことを聞いた。

Successful use of humor

自分のプライベートを小話にして紹介したり、失敗談を笑って話したり、自虐的なユーモア(自分の失敗を笑う)は成功したと感じる教師のコメントが多くあった。

Successful use of humor in Online environment

あまり経験ない先生がおおく、できることならしてみたいやオンラインでは使ったことがないという意見が大半。一部Podcastやビデオ(YouTube)を使用している。

Inappropriate or counterproductive uses of humor

誰かをさげすんだり、嘲笑ったりするユーモアはよくない経験として多くの教師に記憶されている。聴衆の背景を無視したビデオを流して笑いが全く起こらず、失敗してしまった例もある。

Discussion and Implications

多くの教師がユーモアを自分の講義に取り入れ、学生を楽しませたり、リラックスさせたりと一定の効果を感じており、肯定的にとらえている。

Conclusions

教師側がユーモアを用いることについてどのように感じており、ユーモアの効果についての見解を収集することができた。学生の興味、満足、記憶の保持、リクルートを促進できるようにユーモアを戦略的に用いることを再確認できた。タイミングよく適切なユーモアは学びは面白くあるべきという格言を良しとしている学生に貢献するかもしれない。高等教育に我々はジョークを使うか?

私見

Institutional researchという立ち位置で書かれた論文であった。ベストティーチャーを集めた論文はすでに紹介済。

ユーモアを使う側の測定もしておいたほうが良いのかな?それを感じる側と別々に測定したい。伝わらないジョークってあるもんね。悲しいかな。ジェネレーションギャップで笑って済ませられるものならばよいけれど、誤解を招いたり、傷つけてしまっては元も子もない。。。

コメント

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