Humor study 背景Draft

CQ:楽しく面白い講義や実習をすると、学生や研修医がいい医師になって患者が救われる。

壮大な(!?)クリニカルクエッションを解決すべく、大学院入学を決めました。最終的にはKirkpatrickの4段階目を意識していますが、峻輔先生に相談に乗ってもらって以下のResearch questionを現在のところ想定しています。

RQ:医学生や研修医にとって面白い講義や実習は、自己主導型学習(自己調整型学習)をはぐくむのに有用か。

ハードな患者アウトカム(安全、死亡、不応需の減少)は、因果推論も困難で、またたくさんの交絡があり測定しきれないと判断したため上記のRQとした。

Introduction(2022/2/28)

  • ユーモアの社会的効果(一般的):ユーモアは古くはギリシャ時代から、哲学者の興味を引き、様々な理論体系が構築されてきた。また理論的な認知論だけでなく、その社会心理学的な影響も多くの研究がなされてきた(・・・)1)
  • ユーモアの社会的効果(教育):ユーモアの教育効果については、初等教育のみならず、高等教育についても様々な知見が得られている2)。(・・・要因としての研究やアウトカムとしての研究)特に初学者が苦手とする科目(統計学)では、ユーモアを含む講義の受講者の方が、含まない講義の受講者よりも最終試験の点数が良かったという報告がある3)。また、同様に統計学の講義で、成績によって層別化された受講者のインタビューからもユーモアが学習動機につながったとの結果が得られた4)。いい先生と表彰された教師へのインタビューでは、いい教師はアドリブであれ、意図的であれ、生徒の学習促進や注意をひくためにユーモアを用いていた5)
  • ユーモアの社会的効果(医学教育):医学教育現場でも、学生は講義を楽しんでいるとはいえず、ユーモアの利用に対しては学生だけでなく、教師側も好意的にとらえていた6)。ただし皮肉や蔑みといったユーモアは他の学部の講義と同様、嫌厭する傾向にあった。ユーモアのある講義では出席率や講義後の試験の点数増加に寄与するとの報告もある7)。ユーモアの種類やその活用方法を学べる講義の選択者は、非選択者に比べて、模擬患者相手の診察において、コミュニケーションスキルが優位に上昇していた8)。病院の実習においても、教師と学生の間の親密性を高め、安全な学習環境を創造するのに役立っているのではと考えられている9)
  • 現在の研究の問題点(試験の成績、記憶力、短期的なアウトカム):様々な研究の限界点であげられているが、医学教育の効果を判定する上で、出席率、記憶力を中心とした試験の成績で測定することは限定的である。そこで研修医としてのコンピテンシーのひとつである自ら学習する能力に焦点を当てた10)
  • 自己調整型学習とは:医学教育の分野で、自己調整学習(広くは自己主導型学習)は、指導者のサポートのもと、自らが事前のゴール設定、実践、振り返りといったサイクルを繰り返す学習モデルのことである。自己調整型学習の評価には、the Motivated Strategies for Learning Questionnaire (MSLQ)が広く使用されている11)
  • 目的:本研究では、ユーモアが医学生や初期研修医の自己調整型学習に寄与するかということを明らかにする。
  1. 研究の問い: ユーモアが医学生や初期研修医の自己調整型学習に寄与するかということを明らかにする。
  2. 研究の問いの重要性と必要性: 医学生が講義や実習を退屈なものと感じている。自ら学習する医師を育てられていない。
  3. 研究の範囲: 医学生、初期研修医に限定する。
  4. 研究の意義・貢献: ユーモアのある講義を受けることで自主的に学習する医学生、研修医を育てられる。
  5. 大問いと細分化した小問い:

References

  1. Rod. A. Martin and Thomas Ford. Psychology of humor: An integrated approach. Elsevier press.
  2. Banas John A, et al. A Review of Humor in Educational Settings: Four Decades of Research. Communication Education. 60: 115-144, 2011.
  3. Avner Ziv. Teaching and Learning with Humor: Experiment and Replication. The Journal of Experimental Education. 57: 5-15, 1988.
  4. David L Neumann, et al. Statistics? You Must be Joking: The Application and Evaluation of Humor when Teaching Statistics. Journal of Statistics Education. 17: ,2009
  5. Farhana Bakar and Vijay Kumar. The use of humour in teaching and learning in higher education classrooms: Lecturers’ perspectives. Journal of English for Academic Purposes. 40: 15-25, 2019.
  6. Yan-Ping Liu, et al. Use of humour in medical education: a survey of students and teachers at a medical school in China. BMJ Open 7: e018853, 2017.
  7. Dr. Ramesh Narula, et al. Humor as a Learning Aid in Medical Education. NJIRM 2: 22-25, 2011.
  8. Orit Karnieli-Miller, et al. Assessing an Intervention Focused on Enhancing Interpersonal Communication Skills and Humor: A Multi-Method Quasi-Experiential Study Among Medical Students. Health communication 33: 1560-1572, 2018.
  9. Robert A. Dudas, et al. A pediatrician, a Resident, and a Medical student walk into a clinic: The role of humor in clinical Teaching. Pediatrics 148: 5-7, 2021.
  10. 厚生労働省 医師臨床研修指導ガイドライン 2020年度版(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/ishirinsyokensyu_guideline_2020.pdf 最終アクセス 2022/2/28)
  11. John Sandars and Timothy J. Cleary. Self-regulation theory: Applications to medical education: AMEE Guide No. 58. Medical teacher. 33: 875–886, 2011.

コメント

タイトルとURLをコピーしました