Humor studies オリジナル論文⑦

Robert A. Dudas, et al. A pediatrician, a Resident, and a Medical student walk into a clinic: The role of humor in clinical Teaching. Pediatrics 148, 5; 2021.

Dudas先生は泣く子も黙るJohns Hopkins病院の小児科の先生で医学教育や医療安全の専門家なんだって。すごいな~。最新だと思って飛びついちゃいましたwでも大学読めんのよ。。。小児科のTop journalだけどね。久々に紙で読んでみたよん(図書館に依頼したのよ)。

いろんな文献で医学教育におけるユーモアの効能が言われている。不安の軽減、効果的な学習環境の醸造、満足度の増加、などである(特に適切な場合)。ユーモアは教育効果を高めるのにキーとなる要素であるようだ。

What is humor?

ユーモアは面白かったり楽しませるものと定義できる。ユーモア自体は無害であるにもかかわらず、プロの現場では、歴史的に、ユーモアは悪名高いものとして受け取られてきた。

A double-edged sword: using humor without falling to pieces

ユーモアは緊張の緩和、グループの絆の強化に役立つが、一方、他人をけなしたり、孤独を感じさせたり、分離させてしまったりもする。時にユーモアは人を楽しませ、時に傷つけてしまう。2つの枠組みがユーモアの2面性を説明してくれる。

この文献の図から引用

Styles of Humor

横軸に自分-他人、縦軸にポジティブ-ネガティブ(denigrate:誹謗する、中傷する)とした。教育環境としては、Affiliativeが望ましい。

Theories of Humor

3つの理論が存在する:Superiority、Incongruity、Relief

Superiority
(優位性)
チームの一員をからかったり、特に人種や性別になると質が悪い。(micro)aggressiveとなる。
Incongruity
(不調和)
反対や否定が起こることを仮定している(自虐はここに入るか)。
Relief
(安堵)
緊張の緩和(イントロのアイスブレイク):最初のギャグはPatienceとPatientsをわざと間違えたもので、アカデミックな雑誌の最初に持ってくることで読者に安堵を与える(そうだったのね)。
3つの学説について

ユーモアのいくつかの型は、前後の文脈や話し手、受け手の感じ方によって分類は変わってくる。皮肉や嫌味は安堵を得ようと使ったつもりが優位性(マウント取った)として扱われてしまうこともある。こういったユーモアは性別や人種、生活様式などによってとらえ方が変化するため、学習環境での使用は適切とは言えない。

Benefits for beneficent:How good humor improves learning

型や目的の違いが分かったところで臨床の教師はユーモアの利益について考えることができる。学習者のみならず学習環境についてもだ。

Benefits for learners

ユーモアは小児患者のストレスやコルチゾールレベルに関してポジティブな効果があることが示されている。また脳の報酬系を活性化する。医学教育では、教育の特別なツールとしては限定的である。しかし、ユーモアの学説は学習者を笑顔にすることで(教師-学生間の)かみ合いが生まれる。さらに、臨床の教えは関係性の過程よりなっており、ユーモアは社会的距離を縮める効果がある。さらに医学の階級のバリアを取り除き、教師と学生のラポートを改善する。

Benefits for the learning enviroment

ポジティブな学習気候(Learning climate)はとても重要で、たくさんの戦略がある。ユーモアはその一つで、注意をひいたり、参加を促したり、楽しませたり、不安やストレスを軽減したりする。学生のフィードバックに対する感受性・受容性を高めるといわれている。

しかし、ユーモアはネガティブな面もある。特に皮肉や軽蔑は学生のプロフェッショナリズムの発達において隠れたカリキュラムの不運な要素として挙がっている。敵意のあるユーモアは学習者を孤立させ、チームの雰囲気も悪くする。

Should all pediatricians become comedians?

ユーモアは主観的なものと認識することが大切である。みんなが面白くないし、面白くない人が面白くしようとしているのを見るのは苦痛である。偉大なユーモアのある臨床教師は、適切な時に、適切な聴衆に向かって、適切な目的で、適切なユーモアを使うことができる。また彼らはユーモアは隠れたカリキュラムの強力な社会的な力に貢献すると認めている。彼らのユーモアは面白い話をしたり、ボディーランゲージを使ったり、笑顔や笑いを使っている。彼らは決して他者をからかったり、センシティブな話題に関するユーモアは避けている。彼らは力のこもったユーモアは簡単に認識され、面白いより気まずくなってしまうかもしれないことを認識している。

全員がユーモアにあふれる必要はなく、他にも効果的な学習をするのに優れた手法はある。ユーモアは一つの手法にすぎないのだ。

Conclusions

ユーモアは医学教育の中でたくさんの目的に役立っている。ポジティブに、友愛をはぐくむために用いられれば、ユーモアは快適な学習環境を構築し、楽しみも増えるだろう。ユーモアはまた反対の効果も持ち合わせる。いい先生は非常に注意深くユーモアを用いる。

私見

新しさに飛びついたのだが、頭の整理にはとても役に立った。15個の参考文献のうち、数個は読んだものがあるので残りにもチャレンジしたい。研究論文だとありがたいのだけれど。

救急の臨床の文脈でユーモアをどう交えるか、難しいな。。。不謹慎にならないといいんだけれど。控室で聞こえないように、ドアを閉めて、ね。あ、でも悪口はダメなのね(自戒)!

コメント

タイトルとURLをコピーしました