Humor studies オリジナル論文⑫

David L. Neumann, et al. Statistics? You Must be Joking: The Application and Evaluation of Humor when Teaching Statistics. Journal of Statistics Education Volume 17, Number 2 (2009)

Aver Ziv先生も統計学の講義にユーモアを加えてRCTをしていた1988年。えっ知らないって?以下をCheck it out !

Neumann先生は何をadd-onしてくれるのだろうか?Griffith大学はオーストラリアのクィーンズランド州にある大学で、Neumann先生は教授なんだ!

1. Introduction

2. The use of humor in the statistics classroom(2.5 Summary)

すでにたくさんの学者が統計学の講義に用いる有益なユーモアのリソースを紹介している。講義の最初から使用し、定期的に、評価する際のアイテムにも使用している。しかし、やりすぎは禁物である。たくさんのタイプのユーモアが用いられるが、生徒や先生のキャラクターによる。攻撃性のあるユーモア(冷やかし、蔑み)については注意して使用する。ユーモアトークが得意でない場合は、小道具や漫画なんかを使うといいかもしれない。これらを用いることで学生が講義に引き込まれ学び、教師に対するポジティブな知覚が得られる。統計学を学ぶことの楽しみや喜びも得られる。

3. A case example on how humor has been used in an introductory statistics course (3.3 summary)

プリントされたユーモア、インターネットの教材は、統計学コースの症例の例示として用いられていた。選ばれたユーモアはもちろん適切にトピックと関連付けれている。経験上、ジョークや小話などは口頭での方がよい。ユーモアの刺客的なプレゼンテーションは瞬間的なものが良い。教えるトピックと関連付けることは難しい。しかし、トピックと希薄な関連しかないときでさえ、ユーモアの効能について学生は感謝しているようでもある。

4. Evaluation of the use of humor in an introductory statistics course

ユーモアのベネフィットについて主張する論文はたくさんある。しかし、教師側の経験則からに基づくものが多い。学生から体系的な方法でフィードバックを受けているものは少なく、もしくは試験の点数でユーモアの効果を調べるといった実験的なアプローチが多い。

(中略)

学生の経験に基づき教えているときのユーモアの効果を判定することとした。層別化ランダムサンプリングした統計学を履修した学生をインタビューに招いた。学生の反応をコード化して大きなテーマに分けた。半構造化インタビューにより、学生は経験したことをより深く表現できる機会を与え、柔軟性を持たせた。ユーモアのとらえ方の個々の違いを調べることを可能にし、学生の興味関心や学びを改善したかという効果を測定することができる

4.1 Participants

Griffith大学の統計学入門の講義をうける学生を2つのセメスターから20名ずつ、ランダムに選択した。層別化ランダムサンプリングで、High distinction, distinction, credit, pass, failureの5段階よりその割合にあったようにサンプリングされた(試験後のよう)。最初に、選ばれた学生は電話を受けて、インタビューの日を決める。1stと2ndの著者は選ばれた学生もしらず、インタビューの担当にもなっていない。

https://blog.gcsgp.com/uni-word-grade.html (オーストラリアの大学の成績について)

最終的な参加者は38名であった。50名が対象であったが、5名は日程決めで不備がありインタビューできず、5名は拒否(HD、D、C:各1名、P:2名)で40名となった。1名は単位を落としその後コンタクト取れず、1名はPassもその後になってインタビューを拒否した。27名が女性で、9名が男性である(クラス自体が77%女性、23%男性で代表していると判断)。平均年齢23.97歳(SD=7.33)、8名の学生は何らかの認定、学位、資格があったが、その他は何もない。講義の出席率は91%(SD=13.14)、参加者はAUS$7.00のカフェのチケットがお礼として渡された。

4.2 interview procedure

インタビューは約20分でデジタル録音され、質問は統計学入門のコースでユーモアを使うことについて半構造化された形式で行われた。学生には、最初にユーモアがどのように使われたかを思い出させ、次に「このコースでユーモアを使うことについてどう思う?」かを聞かれる。次に推敲したネタや説明は関連づいていたかをたずねた。さらに「それは資料に従事するのに役立ったか?」、「どのように?」、「それは統計学を学ぶのにモチベーションをあげたか?」、「いい点は?」、「悪い点は?」と1回ずつ各生徒に質問した。ユーモアを使わなかったコースについて質問され終了とした。

4.3 Data coding

インタビューは学生に研究IDが割り振られ、逐語訳された。研究のアシスタントが117のユニークな発言を12のカテゴリに分けた(ポジティブもネガティブも含めて)。ユーモアに関連しないところは削除した。次に1stの著者が割り振られた発言とカテゴリに関連性や一貫性がどの程度あるかを判断し、必要があれば別のカテゴリに移動させたりした。研究アシスタントと著者は87%の一致率だった。議論ののち100%の一致が見られた。不一致の場所は、(ユーモアは)単調さを減少させるvs注意を持続するのを助けるというのと、内容をかみ砕いてくれるvs精神的な壁を取り除いてくれるという2つの箇所が多かった。「単調さ」、「飽き飽きした」、「平凡な」やこれらの派生語は単調さを減少へ、「注意力」、「集中力」、「興味」やこれらの派生語は注意力の維持の助けへ分類した。残りの2つのカテゴリは「break(打ち破る)」をキーとしてカテゴライズした。まるで目覚ましのようだとかは、心理的障壁を減ずるといったカテゴリに。理論がかみ砕かれていたとか言ったものは「内容がかみ砕かれていた」というカテゴリに分類した。

次の段階で、第一著者が(a)代表的な記述のラベルを考案、(b)定義を構築、(c)各カテゴリで代表的な文章を選択。第二著者とすり合わせを行った。95%が一致しており、協議の結果100%の一致をみた。不一致だったものは、アイスブレイクに関するカテゴリで、4つのセンテンスをここに分類していた。そのうち2つは雰囲気を軽くするというカテゴリへ分類し、残り2つ(「話のきっかけやアイスブレイクの意味と推察」、「ユーモアで隣の人とのおしゃべりが生じた」)は大きなカテゴリに分類するには不十分と判断し削除した。

4.4 Results and Discussion

Table. 1 The labels, definitions, percent of sample that contributed statements, and representative comments for the final categories resulting from the qualitative data coding methods.
Table. 2 A contingency table showing the distribution of positive and negative cognitive and affective statements made by each student.

Cognitive issue: 学びの助けになるか、注意力の維持に役立つか、心理的障壁を壊すか、単調性を減らすか、内容をかみ砕くか、関連性はあるか

Affective issue: 楽しみ、雰囲気を軽くする、講義に参加するモチベアップ

「将来、ユーモアを用いることを推奨するか?」といった質問には92%の生徒が「はい」と答えていた。2人が「いいえ」、1人が「部分的には」と回答した。「いいえ」と答えた人の一人は、「あまり講義に関係なく、いい方法とは思えなかった。他の人にとってはいいかもしれないけれど。なぜなら、統計学にとても興味があって、本論とはずれていると感じたから。他の人が興味あるかないかは知らないけれど。」(いいえと答えた)もう一人は、「ちょっと関連がなかった気がする。私はむしろ、学ばなくてはいけないことにフォーカスした教材や進行が好きである。」部分的にはという1人も同様の意見であった(関連性に言及している)。

大方、ポジティブな評価を得ているが、Limitationについて言及しておく。「ユーモアを講義に追加うことについてどう思うか?」という質問は、Positiveな返答を誘発してしまう可能性がある。そのため「ユーモアは役に立った?立たなかった?」と質問するほうがいいかもしれない。さらに、最初に「ユーモアのいい面を教えてください。」とすべての参加者に聞いていたため、半分は「ユーモアの良い面を教えてください」と初めに聞いて、残り半分は「ユーモアの悪い点を教えてください」とした方がバイアスを減らせたかもしれない。最後に、追加質問として4つの良い面に関する質問と1つの悪い面に関する質問があったため、数をイーブンにしておくほうが偏りを是正できるかもしれない。

私見

理論を大切にするためか、研究の前置きがずいぶんと長かった(2章、3章はサマリのみを訳した)。学生のほうを成績別にランダムサンプリングして半構造インタビューをするというのは新しかった。半構造化インタビューのLimitationは、自分でインタビューフォームを作成するのにも役に立ちそう!Ziv先生のようにユーモア(+)群と(-)群の比較ではなくてちょっと残念。比較対象がなくても、自分の主張したいstoryになるのはうれしいような、怖いような。自省的で自覚的な態度で臨まなくては!

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